『ブルーピリオド』を読んで絵を始めたくなったら|あの熱を続ける方法

読み終えた瞬間、机の上のノートやコピー用紙に、何か描きたくてたまらなくなった。空の色を、いつもと違う目で見てしまった。電車の窓に映る景色を、無意識に構図として切り取っていた——そんな感覚に心当たりがあるなら、この記事はきっとあなたのためのものです。
『ブルーピリオド』は、油絵と出会ったことで人生が変わっていく美大受験生の物語です。読んだ人・観た人の多くが「自分も描いてみたい」という衝動を抱えたまま、ページを閉じたあとの現実に戻ってきます。そしてその衝動を、どう扱えばいいのか分からずに持て余しています。
「絵なんてもう何年も描いていない」「美術は学生時代の成績が良くなかった」。そんな人ほど、実はこの作品に心を動かされたのではないでしょうか。上手いか下手かの前に、まず「描きたい」という気持ちがあった。その気持ちを、この記事では一緒にたどっていきます。
この記事は、『ブルーピリオド』を読んで美大受験や本格的な油絵に興味を持った、中高生や大人の方に向けて書いています。子ども向けの絵画教室の紹介ではありません。大人になってから、あるいは進路を考え始めた10代のうちに、もう一度「描くこと」と向き合ってみたい人のための内容です。作品そのもののストーリーやセリフをここで詳しく語ることはしませんが、あの物語が多くの人の背中を押した理由と、その先にある現実的な一歩について、一緒に考えていきたいと思います。
なぜこの作品は、こんなに人を「描きたく」させるのか
『ブルーピリオド』のストーリーやセリフをここで詳しく紹介することはしません。もし未読の方がいたら、ぜひ本編で出会ってほしいからです。ただ、この記事のテーマに関わる一点だけ触れておきます。それは、この作品が読者を惹きつける理由が「絵がうまく描けるようになる過程」ではなく、「世界の見え方が変わっていく過程」を描いている点にあるということです。
多くの人は、絵と聞くと真っ先に「技術」を思い浮かべます。デッサン力、色の塗り方、構図の組み方。どれも大切ですが、それを最初に求められたら、大半の人は挑戦する前に諦めてしまいます。ところがこの作品が描いているのは、技術よりもずっと手前にある力——「よく見る力」と「自分の好きを言葉にする力」です。
この2つの力は、絵を習ったことがない人にも、すでに備わっています。空がきれいだと感じたこと。誰かの後ろ姿に見とれたこと。好きなものを人に説明しようとして、うまく言葉にならなかったこと。それはもう、絵を描くための材料をすでに持っているということです。技術より先に、見る目がある。だからこそ、専門的に絵を学んだことのない人ほど、あの物語に強く自分を重ねてしまうのだと思います。
実際、油絵の制作を長く続けていると分かるのですが、絵の上達は「手が器用になること」だけでは起きません。同じモチーフを見ても、人によって描かれるものはまったく違います。その違いを生んでいるのは、技術の差である以前に、「何を見て、何に心を動かされたか」という部分です。だから、これから絵を始める人に一番伝えたいのは、上手く描く方法を先に覚える必要はない、ということです。まずは自分が何を美しいと感じるか、何を描きたいと思うかを、自分自身に聞いてみることから始めてみてください。
「読んで終わる人」と「描き始める人」を分けるもの
最終巻を閉じた直後、あるいは最新話を読み終えた直後は、誰でも一番熱量が高い状態にあります。問題は、そこから先です。画材屋さんに行くべきか、独学で始めるべきか、それとも誰かに教わるべきか——決めかねているうちに、日常の忙しさに押し流されて、熱はゆっくり冷めていきます。「やっぱり自分には無理か」。そう自分に言い聞かせて、ノートを閉じたまま引き出しにしまってしまう。これは、意志が弱いからではありません。ただ、熱量を受け止める場所が用意されていなかっただけです。
実際、文化庁の「文化に関する世論調査」(令和6年3月報告書)では、この1年間に鑑賞ではなく自分で文化芸術活動を実践した——つまり創作や習い事、体験活動などに実際に手を動かして取り組んだ人は、全体の13.3%にとどまるという結果が出ています。裏を返せば、8割以上の人が「観る側」「読む側」のままで1年を終えているということです。20代に限ると実践した人の割合は20.8%まで上がりますが、それでも多数派は「気持ちはあったけれど、動かなかった」側にいます。
だからこそ、いま「描いてみたい」と思っているその気持ちは、実はかなり貴重な状態です。あとはその熱を、日常の中の小さな習慣につなげられるかどうか。そこにだけ、意識を向ければいいのです。
大人や中高生が「今から絵を始める」ときの、地味だけど大きい壁
子どもの習い事と違って、大人や中高生が新しく絵を始めるときには、大人ならではのハードルがいくつかあります。どれも些細に見えて、実際にはこの壁のせいで一歩を踏み出せない人がとても多いというのが実感です。
周りに「大人の初心者」がいない
子どもの頃なら、周りの友達もみんな初めてで当たり前でした。でも大人になってから何かを始めようとすると、「今さら初心者から始めるのは恥ずかしい」という気持ちがどうしても先に立ちます。実際には、大人になってから絵を始める人はめずらしくありません。ただ、それを口に出す機会が少ないだけです。
画材が分からない
油絵に興味を持っても、画材店に足を運んだ瞬間に選択肢の多さに圧倒されてしまう人は少なくありません。筆の種類、絵の具のメーカー、キャンバスのサイズ。何を買えばいいのか分からないまま、結局その日は何も買わずに帰ってしまう。これは技術以前の、単純な情報不足が原因です。誰かに聞ける相手がいれば、それだけで解決する壁でもあります。
下手な自分を見せるのが怖い
これが、実は一番大きな壁かもしれません。特に絵を「見る目」だけは育っている大人や中高生ほど、自分の描いたものと理想とのギャップに敏感になります。「こんな絵、人に見せられない」。そう思って、誰にも見せないまま描くのをやめてしまう。けれど、上手い下手を判断できる目を持っているということ自体が、すでに一歩進んでいる証拠でもあります。下手さを隠すより、下手なうちから誰かに見てもらうほうが、実は早く前に進めます。
レッスンを決める前に、今日からできる小さな一歩
「習い事」と聞くと、どうしても大きな決断のように感じてしまいます。でも、いきなり教室を探したり、画材を一式そろえたりする必要はありません。まずは、身の回りにあるものを観察する時間を、1日5分だけ作ってみてください。通勤電車の窓に映る景色でも、テーブルに置かれたコップでも構いません。「これをもし絵にするなら、どこから描き始めるだろう」と考えるだけで、あなたの中の「見る力」は少しずつ動き出します。
次に、手元にある紙とペンで、思いついた形をラフに書き留めてみる。うまく描けなくてもかまいません。この段階での目的は、上手に描くことではなく、「見たものを手で表そうとする回路」を体に思い出させることです。この小さな習慣を数週間続けられた人は、次のステップ——誰かに教わる、レッスンを受けるという決断を、驚くほど自然に選べるようになります。
独学とレッスン、何が違うのか——「客観的な目」の価値
YouTubeや書籍を見ながら独学で絵を始めることも、もちろんできます。実際、そこから力をつけていく人もいます。ただ、独学には一つだけ、どうしても埋めにくい穴があります。それは「自分の絵の癖に、自分では気づけない」ということです。
色の選び方の偏り、いつも同じ構図に逃げてしまうこと、遠近感の狂い方のパターン。こうした癖は、自分の中でぐるぐる考えているだけでは、なかなか客観視できません。外側から「ここ、こう見えてるよ」と言ってもらえる一言があるだけで、何ヶ月分もの遠回りを省けることがあります。一人で悩む時間より、誰かに見てもらう5分のほうが、絵はずっと早く変わっていきます。
もうひとつ、独学では見落としがちなのが「褒められる経験」です。誰かに絵を見せて「ここの色の選び方、面白いね」と言ってもらえた瞬間の手応えは、一人で黙々と描いているだけでは得にくいものです。上達のための指摘だけでなく、自分では気づいていなかった良さを言葉にしてもらう機会があることも、レッスンを受ける大きな価値のひとつだと感じています。
| 比べる視点 | 独学 | レッスン |
|---|---|---|
| 始めやすさ | 今すぐ始められる | 予定を合わせる必要がある |
| 自分の癖への気づき | 気づきにくい | 客観的な指摘がもらえる |
| 継続のしやすさ | モチベーション頼み | フィードバックが次の目標になる |
どちらが正しいという話ではありません。ただ、『ブルーピリオド』を読んで芽生えた熱量を長く育てたいなら、どこかのタイミングで一度、誰かに自分の絵を見てもらう機会を作ることを、ぜひおすすめしたいと思っています。
大人にも中高生にも開かれた、「オンライン・家庭教師」という選択肢
poppy questでは、日曜日に三軒茶屋で開いている造形クラブとは別に、オンライン・家庭教師での指導も行っています。造形クラブは年長から小学生を対象にした少人数の教室ですが、中高生や大人がこれから絵を始めたい・続けたいという場合には、こちらのオンライン・家庭教師の指導のほうが向いています。
学びたい内容に合わせて対応しているのが特徴です。具体的には、次のようなジャンルのフィードバックやレクチャーに対応しています。
- 油彩(油絵)の基礎から、モチーフの見方・色の作り方まで
- 水彩での表現、にじみやぼかしの扱い方
- デジタルイラストを含む、ビジュアル表現全般へのフィードバック
「まず自分が何を描きたいのか、まだはっきりしていない」という段階でも大丈夫です。何から手をつければいいか分からない、というところからの相談も歓迎しています。料金や具体的な進め方については、お問い合わせの際に詳しくお伝えしています。
オンラインでの指導のいいところは、住んでいる場所や毎週決まった曜日に通えるかどうかを気にせず、自分の生活のリズムに合わせて続けられることです。学校帰りの時間でも、仕事終わりの夜でも、休日にまとめてでも構いません。通う場所を探すことより、続けられるリズムを見つけることのほうが、長い目で見れば大切だと考えています。なお、日曜日に三軒茶屋で開いている造形クラブは、年長から小学生を対象にした別枠の教室です。中高生・大人の方には、こちらのオンライン・家庭教師をおすすめしています。
講師について——武蔵野美術大学 油絵学科卒の、現役の油絵作家です
poppy questでオンライン・家庭教師を担当しているのは、代表であるぽぽ先生(ポポーススィ)です。武蔵野美術大学の油絵学科を卒業し、現在も現役の油絵作家として制作を続けています。
誤解のないようにお伝えしておきたいのですが、poppy questは美大受験の予備校ではありません。「美大受験 絵画教室」と検索してこの記事にたどり着いた方には申し訳ないのですが、合格実績を掲げるような専門的な受験指導をお約束するものではないということは、正直にお伝えしておきます。私たちが力になれるのは、絵を描くこと自体の楽しさや、見る力・表現する力そのものを育てていくことです。受験のテクニックよりも先に、まず「描き続けられる自分」を作ること。そこに寄り添うのが、poppy questのオンライン・家庭教師です。
もし本格的な受験対策が必要な場合は、専門の予備校と併用することも一つの方法です。その上で、日々の制作に伴走してくれる存在として、poppy questを頼っていただければと思っています。予備校の集団授業では聞きづらい「そもそも自分は何を描きたいのか」といった根本的な部分から、マンツーマンでゆっくり言葉にしていけるのも、個人指導ならではの強みです。
その情熱を、来週も再来週も続けるために
『ブルーピリオド』を読んで芽生えた「描いてみたい」という気持ちは、一過性の感動で終わらせるにはもったいないものです。技術がないから、うまく描けないから、という理由でその気持ちに蓋をしてしまう前に、まずは小さく手を動かしてみること。そして、できればどこかのタイミングで、誰かにその絵を見てもらうこと。この2つだけを意識してもらえたら、その熱はきっと長く続いていきます。
物語の中の登場人物たちのように、劇的な出会いや才能の開花が最初からある必要はありません。今日、ノートの端に何か一本の線を引いてみること。それだけで、あなたはもう「観る側」から「描く側」へ、半歩だけ踏み出しています。
poppy questでは、「下手な自分を見せるのが怖い」「今さら始めるのは遅い気がする」という不安を抱えたまま一歩を踏み出せずにいる中高生・大人の方に向けて、オンライン・家庭教師での油彩・水彩・ビジュアル表現の指導を行っています。あなたのペースで、あなたが見たい景色に向かって描き進められるよう、お気軽にご相談ください。
poppy quest(ぽぴくえ)造形クラブ
学校でも、おうちでもない。
三軒茶屋のギャラリーにある、ひみつきち。
子どもの「これが好き」が見つかる、もっと絵が好きになる場所です。
毎週日曜、上手さだけでは評価しません。
誰かの正解より、自分の答えを探す旅へ。
武蔵野美術大学 油絵学科卒の現役作家が、
6名までの小さな輪のとなりで、一緒に手を動かし伴走します。
- 毎週日曜 10:00〜11:30
- 年長〜小学生
- 各回6名の少人数制
つくる、つながる、わたしらしくいきる。
poppy quest

心・人・空間を彩る。
正解のない時代に、わたしなりの答えを。
「こうでなきゃいけない」世界、もう知っている毎日に、
ちょっと風穴あけてみませんか☺️
予定不調和や予想外だって大歓迎。
あなたの中の好奇心や輝きを、そっと呼び起こします。
― poppy quest にできること ―
🎨 オフィスアート(空間にアートを。オーダーメイドも)
🖌 造形クラブ(こどもの今と未来を彩る造形教室)
🧡 作家さん支援(SNS・HP制作支援、バックオフィスサポート)
オーダーメイド制作や作品のご購入も、お気軽にご相談ください😊
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原画・オーダー作品の搬入や設置(壁掛けなど)にうかがえるエリアです。
作品のご購入は国内外どこへでもお届けします📦
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