年長さんのはじめての習い事に|就学前の1年をどう使うか

年長さんになると、まわりから「そろそろ習い事、何かさせてる?」という話がちらほら聞こえてきます。就学前の1年、何かさせたほうがいいのか、でも何を選べばいいのか。周りの子がすでにいくつも通っていると聞くと、「うちはこのままで大丈夫かな」と、少しあせってしまう方もいると思います。
まず、データを一つ。ベネッセ教育総合研究所の調査では、子どもが習い事を始める時期は4歳がもっとも多く、習い事をしている家庭の約9割が、小学校入学前に最初の習い事をスタートしているとされています(ベネッセ教育情報「習い事、何歳から始めてる?」)。つまり、年長で「そろそろかな」と考えるのは、ごく自然なタイミングです。あわてて何かを詰め込む必要はありません。
この記事では、就学前の1年をどう使うかを、「成果を急がない」という視点から考えていきます。何を習わせるかというより、この時期の子どもにとって習い事がどんな意味を持つのか、そして年長さんが無理なく通うにはどう選べばいいのか、というところに軸を置いてお話しします。
「入学前に何かできるようにさせなきゃ」を、いったん手放す
ひらがなを書けるように、跳び箱を跳べるように、英語を少しでも——就学が近づくと、先取りのプレッシャーを感じやすくなります。もちろん、それらができて困ることはありません。ただ、就学前の1年で本当に土台になるのは、特定のスキルそのものよりも、「自分は何が好きか」の手がかりと、家族以外の人と過ごす下地のほうです。
この1年は、「できるようにさせる」より、「好きに出会う」ための時間だと考えると、選択肢がぐっと広がります。逆立ちでもいいし、虫の観察でもいいし、絵でもいい。何を選ぶかより、本人がそこで生き生きしているかどうかが大事です。
先取り学習が無意味だと言いたいわけではありません。ただ、就学前にひらがなを完璧に書けるようにしても、入学後の数か月で、やっていなかった子もだいたい追いつきます。差がつくのは技術そのものより、「学ぶのは楽しい」「わからないことを聞いていい」という構えのほうです。年長の1年は、その構えを育てる時間だと考えると、力の入れどころが変わってきます。
もし「うちの子、これといって夢中になるものがなくて」と感じていても、心配はいりません。夢中は、探している最中には見つからず、たまたま出会うものです。親にできるのは、出会いの機会をいくつか用意して、あとは本人の反応を眺めること。年長の1年で「これだ」というものに出会えなくても、その試行錯誤自体が、次の学年につながっていきます。
年長の1年で育つ「学びの土台」
習い事の種類にかかわらず、定期的に「おうち以外の場所」に通うことで、次のような経験が積み重なります。どれも派手ではありませんが、小学校生活のスタートを、ほんの少しなだらかにしてくれるものです。
- 椅子に座って、一つのことに向かう経験(最初は15〜20分でも十分)
- はさみ、のり、鉛筆、絵の具などの道具を、自分の手で使う経験
- 家族以外の大人の話を聞く、順番を待つ、使ったものを片づける
- 「今日はこれをやった」と、家の人に自分の言葉で話す経験
これらは、小学校生活が始まってから、じわじわ効いてきます。特定の習い事でなくても育ちますが、習い事は「毎週決まった時間に、その機会をくれる」という点で、生活のリズムをつくりやすいのです。
たとえば「片づけ」ひとつとっても、家では「もうおしまい、片づけて」と言われてやることが多いのに対して、習い事では「使ったら元の場所に戻す」が場のルールとして自然に組み込まれています。家族に言われるのではなく、その場のやり方として身につく——この違いは小さいようで、入学後の「自分の道具は自分で管理する」につながっていきます。
もうひとつ、見落とされがちなのが「待つ」経験です。順番を待つ、先生が他の子を見ている間だまって取り組む、というのは、家庭ではなかなか練習しにくい場面です。年長のうちに少しずつ慣れておくと、45分の授業がある小学校生活に、体がなじみやすくなります。
「好きの芽」は、やらせてみないと見えない
子どもの「好き」や「得意」は、親の予想とずれていることがよくあります。体を動かすのが得意だと思っていた子が、実はじっくりものをつくる時間がいちばん好きだった、ということも珍しくありません。年長から低学年は、いろいろ試してみて、本人の反応を見る時期です。
体験に行ったら、レッスンの出来ばえより、帰り道の様子を見てください。表情、口数、「次いつ行くの?」があるかどうか。そこに、その子の「好きかも」が出ます。その場では恥ずかしがってあまり動けなかった子が、家に帰ってから「あれ、またやりたい」と言うこともあります。1回の様子だけで決めず、数日たってからもう一度気持ちを聞いてみてください。
逆に、体験中はにこにこしていても、次の週になると「行きたくない」と渋る場合もあります。これは「合わない」というより、慣れない場所に通うこと自体への緊張であることが多いです。2〜3回は付き添うつもりで様子を見て、それでも毎回つらそうなら、時期を少しずらす、という判断もあります。年長さんは、心の準備に時間がかかる子が多いものです。
続くかどうかは、上達の速さより「終わったあとに、また行きたいと言うか」で見えてきます。コエテコの年長さん向けの習い事の記事や学年別のまとめは、どんな選択肢があるかを知るのに便利です。ただ、ランキングの上位から選ぶより、まずは送迎できる範囲で体験できるものから試すのがおすすめです。
年長さんが無理なく通うための、3つの目安
はじめての習い事は、内容そのものより「無理なく通い続けられるか」で選ぶと失敗が少なくなります。どんなに評判がよくても、通うたびに親子で疲れ果ててしまう条件だと、続きません。次の3つを目安にしてみてください。
| 見るところ | 目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 1回の長さ | 45〜90分 | 途中で集中が切れて当たり前。最初から全部座れなくていい |
| 送迎 | 親が毎週続けられる距離・時間 | 親の負担が重いと、子どもより先に親が疲れる |
| 内容 | 「できた/できない」が出すぎないもの | 最初の習い事で比べられて凹むと、嫌いになりやすい |
とくに最後の点は見落としがちです。勝ち負けや級がはっきりつくものは、達成感が得やすい反面、うまくいかない時期に「もう行きたくない」につながりやすい面もあります。はじめの一つは、本人のペースで進められるものを選んでおくと、「習い事=楽しい」という記憶をつくりやすくなります。
「やらせすぎ」にも、気をつけたい
あせりから、いくつも掛け持ちさせたくなることがあります。ベネッセの調査では、習い事をしている小学生のうち半数以上が2つ以上を掛け持ちしているとされますが、これはあくまで小学生全体の話。年長さんの段階では、まずは一つ、多くても二つで十分です。
就学前の子は、園で一日過ごすだけでもかなりのエネルギーを使っています。そこに予定を詰め込みすぎると、家でぼんやりする時間、何もせずに遊ぶ時間が削られます。実は、この「余白」の時間に、子どもは頭の中を整理したり、自分で遊びを考え出したりしています。習い事で埋めれば埋めるほど良い、というものではありません。
週に一つ、楽しみにしている時間がある。それくらいが、年長さんにはちょうどいい重さです。
「まだ早い?」という不安に
Q. 年長からで、出遅れていませんか?
出遅れていません。前述のとおり、最初の習い事を小学校入学前に始める家庭が多数派で、そのなかでも4歳〜年長のスタートは典型的です。むしろ、本人の「やりたい」が出てきてから始めたほうが、続きやすい傾向があります。
Q. 何がしたいか、本人がまだ言えません。
それも普通です。「やりたいことを言葉で選べる」こと自体が、年長ではまだ発達の途中です。だからこそ、親がいくつか選択肢を用意して、体験させてみる。本人が「これ」と言えなくても、反応を見れば手がかりはつかめます。
Q. 入学してから始めるのではダメですか?
まったく問題ありません。入学直後は生活が大きく変わるので、あえて習い事を始めず、学校生活が落ち着く夏以降にスタートする、という考え方もあります。年長で始めるか、入学後にするかは、家庭のペースで決めて大丈夫です。
きょうだいや、周りの子と比べない
上の子は年中から通っていた、近所の子はもう二つやっている——気になりますよね。ただ、スタート時期の差は、小学校の中学年くらいになると、ほとんど見えなくなります。早く始めたから有利、というより、本人が「やってみたい」と思えたときが、その子にとっての始めどきです。
年長のうちは、「決められた一つを長く」より、「気になったものを短く試す」でも構いません。半年やってみて合わなければ、別のものに切りかえる。その出入りの経験自体が、自分の「好き」を知る手がかりになります。「一度始めたら続けなさい」を年長さんに求めるのは、まだ少し早いくらいに考えておくと、親子ともに気が楽です。
比べたくなったときは、目線を「他の子」から「半年前のわが子」に移してみてください。前は自分でくつを履けなかった、道具を出すのを嫌がっていた、あいさつができなかった——そういう小さな変化に気づけると、他の家庭の進み具合は、あまり気にならなくなります。年長の1年は、その子なりの伸びを、その子のペースで見守れば十分です。
造形クラブの対象は「年長〜」。その入口として
poppy quest(ぽぴくえ)の造形クラブは、対象を年長から小学生としています。教室は東京・三軒茶屋のギャラリー。毎週日曜の10:00〜11:30、各回6名の少人数制で、講師は武蔵野美術大学 油絵学科を卒業した現役の油絵作家です。90分を対話30分・制作60分・振り返りに分けて進めます。
年長さんにとって、90分はけっこう長い時間です。だから「ずっと座っていましょう」とは言いません。立って描いても、床で作っても、途中で材料の棚を見にいってもかまいません。まずは「絵をつくる場所は楽しい」というひとつの記憶を、持ち帰ってもらうことを大事にしています。
上手い下手では評価せず、「正解より、自分の答え」を合言葉にしています。年長のうちから、「今日はこれをつくる」「この色にする」と自分で決める経験を積むこと。はさみ・のり・絵の具・粘土を自分の手で扱うこと。家族以外の大人や、同じくらいの年の子と、同じ時間を過ごすこと。就学前に育てておきたい土台の部分を、絵や造形を通してつくっていきます。
少人数にしているのは、年長さんが「見てもらえている」と感じられるためです。6名なら、講師がその日のうちに全員と何度も言葉をかわせます。まだ自分から「できた!」と言いに来られない子にも、「さっき、色をたくさん混ぜてたね」とこちらから声をかけられる。この一往復があるだけで、子どもは「ここは安心できる場所だ」と感じます。就学前の子にとっては、技術を教わることより、その安心のほうがずっと大事です。
以前、年長さんではじめて体験にいらしたお子さんが、最初の30分はお母さんのそばから離れられませんでした。無理に離さず、隣で一緒に紙を触っているうちに、いつのまにか一人で絵の具の前に座っていました。その日つくったのは、紙を筆でたたいて点をたくさん打っただけのもの。それでも帰り道に「またやる」と言ったそうです。年長さんのはじめの一歩は、たいていそのくらいのペースです。
体験レッスンは3,000円(画材費込み)です。曜日や持ち物など、詳しくは造形クラブのページをご覧ください。「まだ45分も座っていられなくて」というご相談も、よくいただきます。それが普通ですので、心配せずにいらしてください。
まとめ ☺️
就学前の1年は、成果を急ぐための時間ではありません。好きに出会い、道具に慣れ、家族以外の人と過ごす土台をつくる時間です。何かができるようになる必要はなく、「これ、楽しい」と本人が思える時間が週に一度あれば、それで十分です。
「何かをできるようにさせた1年」より、「これが好きかも、と本人が思えた1年」のほうが、後から効いてきます。
就学前の1年は、親のほうが「何かさせなきゃ」と力が入りがちな時期でもあります。でも、子どもが週に一度、目を輝かせて向かう場所が一つあれば、それだけで学びの入口としては十分です。うまくいかなくても、途中で変えても、いったんお休みしても、この1年が失敗になることはありません。周りの進み具合と比べて焦る気持ちが出てきたら、「半年前のわが子」と今を見くらべてみてください。その子なりに、ちゃんと前に進んでいるはずです。
poppy questでは、はじめての習い事にとまどうお子さんのペースに合わせて、まずは「来るのが楽しい」と思ってもらえることを大事にしています。何を選べばいいか迷っている段階でのご相談も歓迎です。お気軽にご相談ください。
poppy quest(ぽぴくえ)造形クラブ
学校でも、おうちでもない。
三軒茶屋のギャラリーにある、ひみつきち。
子どもの「これが好き」が見つかる、もっと絵が好きになる場所です。
毎週日曜、上手さだけでは評価しません。
誰かの正解より、自分の答えを探す旅へ。
武蔵野美術大学 油絵学科卒の現役作家が、
6名までの小さな輪のとなりで、一緒に手を動かし伴走します。
- 毎週日曜 10:00〜11:30
- 年長〜小学生
- 各回6名の少人数制
つくる、つながる、わたしらしくいきる。
poppy quest

心・人・空間を彩る。
正解のない時代に、わたしなりの答えを。
「こうでなきゃいけない」世界、もう知っている毎日に、
ちょっと風穴あけてみませんか☺️
予定不調和や予想外だって大歓迎。
あなたの中の好奇心や輝きを、そっと呼び起こします。
― poppy quest にできること ―
🎨 オフィスアート(空間にアートを。オーダーメイドも)
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